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葦と棚田と自転車と、それにパーキンソン


琵琶湖岸の葦原を眺めながら自転車で走るブログです
by kwhiro
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bicycle sign 2

2011年のLancetに載ったこの論文は「あなたはまだ自転車に乗れますか?」と患者さんに聞くだけで、その人の病気がパーキンソン病か、それとも非定型パーキンソン症候群(パーキンソン病と良く似た症状を呈するけれども、パーキンソンよりももっと早く進行し薬も効きにくい病気の総称)なのかを鑑別出来ると述べています。
彼らは156人のパーキンソンのような症状を持っているけれどもまだ診断のついていない患者さんを集めて3年間経過観察しています。この156人のうち、最初の段階で自転車に乗れるのは111人でした。3年後にパーキンソン病と診断された人45人の内、自転車に乗れなくなったのはたった2人(4.4%)しかいなかったのに対し、非定型パーキンソン症候群と診断された人66人中34人(51.5%)の人が自転車に乗れなくなっていました。
まるで自転車乗りに挑戦するかのようなこの病気ですが、先日の動画のようにパーキンソン病の人では自転車に乗る能力が何故保たれているのかはやっぱりよく分かりません。
bicycle sign 2_d0182277_12353388.gif

非定型パーキンソン症候群の内訳をみますと多系統萎縮症が31.3%、進行性核上性麻痺が8.5%で、血管性パーキンソン症候群が15.3%となっていますが、これらの病気の方はパーキンソン病の方より早く病気が進行するので、単に3年経過した時点でより重症の人が多いのではないか?とも思います。
実際、パーキンソン病の重症度分類であるYahr-Hoen分類では、非定型パーキンソン症候群の群で3度以上(よく転倒する、自分で歩くのが難しい)の方が明らかに多い様ですが、著者らはこのことについては特にコメントしていません。
多系統萎縮症では小脳失調といって体のバランスをとる働きが悪くなりますし、進行性核上性麻痺では姿勢反射障害といってこけかけた時にバランスを取り戻す働きが極端に悪くなりますから、自転車に乗るのにはこういった体のバランスをとる働きが必要とされるのかもしれません。(ただし著者らは失調と自転車に乗る能力は相関しないと言っています。)

著者らはこの'bicycle sign'の感度52%、特異度96%で、ROCのAUC(Area under the curve)は0.74と言っていて自転車に乗れなくなれば、非定型的パーキンソニズムのred flagと言っていますが、実際他の人にも聞いてみると一番多かったのは「うーん、もう何年も乗ってへんから、乗れるかどうか分からん」という返事。世の中はなかなか理屈通りにはいかん様です。

で、私が今まだ自転車に乗れるかと言われれば世間一般的には間違いなくyesでしょうね。
近くのスーパーまで買い物に行けと言われれば問題なく行けます。
ただ、ここ数年で自転車に乗ることの意味が以前と全く違ったものになってしまった私としてはとてもyesとは言えません。
矢橋の帰帆島の橋を登るだけですぐ疲れてしまう様になってからはなかなかロングライドに出かけようという気分にならないのは確かです。うーん、zulloのフレームがもったいない。

(Lancet. 2011;377:125-126)

by kwhiro | 2014-07-21 10:01
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